話題になっていたので。
■「文章力の上げ方教えて」「本いっぱい読め」ってアホかい
http://anond.hatelabo.jp/20091027181046
まぁ確かにここ数年の間に「ライトノベル」と呼ばれているものの平均レベルは相当に下がったと思う。
「え、これが受賞作・・・って何かの間違いだろう?」
とか
「・・・この作品のどこに商業出版に値するという判断が下されたんだろうか?」
とか読むと思う作品の数が増えているということを、それこそ「目」で感じるから。
ただ、そこだけに関して言うなら、相対として全体で見た時に
「・・・何コレ?」
という作品が平然と商業出版されていて、しかも結構売れている・・・というのは“ライトノベル”という出版物のジャンルがこの国に生まれた頃から割とそうだったのでは・・・? と15年・・・いやもう20年近く“ライトノベル”というものに触て
来た人間としては思うところ。
無論、
「受賞できたり出版されたりしたものがこのレベルなら、“されなかった”
ものというのはどんなレベルのものであったのやら・・・?」
というのはあるけれども。
その意味で確かに
「こんなものを毎日「選考」という名目で毎日毎日強制的に
読まされてる人間の身にもなれ!!」
というのは、あぁ、大いに同情に値するなー、とは思う。
同情以上のものは持たないけれど。
・
・・・ただ、根本的な話として、
「日本語の質が低い」
というのは、“ライトノベル”というものを語る時に、そんなに重要なポイントなんだろうか・・・? という疑問はある。大きく。
確かに壊滅的な日本語の文章、というものは存在するし、そういうものを平然と書いて疑いを持たない、という人はごく普通に存在しているが(この辺、日本の国語教育とは一体何なのだろうか? という疑問を呈したい。激しく)、それも含めて、
別 に い い ん じ ゃ ね ぇ の ?
としか思わない自分はダメな人なのだろうか。
いやお前がダメな人間なのは確かめるまでもない・・・のだけれども、少なくとも“ライトノベル”というジャンルの小説に関しては、それは評価するポイントでも論評するポイントでもないと思う。
こまけェことはいいんだよ!(AA略
というか
おおざっぱでいいんだよ!
でいいんじゃないのかねぇ、と。
だって、ユーザーは
「美しい日本語の文章」
が読みたくて“ライトノベル”を読むわけではないし、書いてる方だって
「美しい日本語の文章」
が書きたくて書いてるわけではないんだろうから。
書きたいように書いて採りたいように採って売りたいように売って買いたいように買って読みたいように読む、だからこそ、というかそれこそが
「ライトノベル」
の在り様だし意義なのでは、と。
もし「あまりにもレベルが低い事を問題にしない」ために滅びるのであれば、それが「ライトノベル」というものの在り様だった、ということでいのでは。
・
して、
>ラノベに限定しての話だけども、応募作品の質の劣化はいつ底を打つのだろう。
>ネットで安易な賞賛を受け、根拠のない自信をつける人間がいる限り止まらないのだろうか。
に関して言うなら、おそらく何時になっても底は打たないし止まりもしないだろう。
ネットで安易に賞賛されることがなくなり、「根拠の無い自信」をつける機会が失われても、それは変わらないと思う。
だってそもそも、「日本人の国語能力は年々低下している」と毎年言われ続けているわけだし(それはこのエントリを書いてる人間の別の文章読んでもよく解りますね)。
そんな中で小説家志望の人間だけがそれら諸々の能力が向上すると考えられる理由はどこにもないから。
ライトノベルの新人賞応募作のレベルの低下を嘆いたり怒ったりするのであれば、まずは、というか根本的には
全 日 本 人 の 日 本 語 能 力
を向上させるにはどうするか、を考えるべきで、ライトノベルだけの問題として考えることには意味は無いだろうと思う。
つまりは教育の問題である、と。
・
個人的には、
「日々文章というと新聞か週刊誌ぐらいしか読まない。
それも、難しいところは読まない」
「最近の漫画は文章が多くて読んでいると疲れる」
「3行以上の文章は読む気がしない」
という人が結構普通にいる中で、ライトノベルを読むだけではなく
「よし、コレなら自分にも書けると思うから自分で書いてみよう!」
という気分になって気分だけで終わらせずにそれを実行して新人賞に応募する、なんて行動をとる人間は、もうそれだけで絶賛して頭を撫でてやるべきだと信ずる。
「お前はもう存在しているだけで偉大だよ!」
くらいの精神で。
勿論それはその
「コレなら自分にも書けると思うから自分で書いてみた」
ものに対して容赦なく論評を下す事も合わせて、だが・・・。
自分は
「日本において、「ライトノベル」と呼ばれる出版ジャンルの確立によって、「大衆文芸」というものは初めてこの国で確立された」
という、その筋やこの筋の人が聞いたら憤死するか全力でSatsugaiしに来るであろうことを本気で思っている人なので、今後もみんなどんどん「ライトノベル」を書いて送って選考して出版して売って買って読めばいいと思う。
まぁ、“編集者”のポジションにいる人は、大変だけれども・・・。